小学校総合5年 環境,住みよい街をめざして
つくば市立並木小学校 野村 光弘
- 【キーワード】
- 小学校、5年、総合的な学習の時間、遠隔共同学習、電子掲示板
- 【ねらい】
-
個々の児童の学習内容や活動を充実させ広げるために、調査活動でIT機器を活 用し、さらにITを活用した遠隔共同学習を学習活動に位置づける。これにより、 他者とより良くかかわり合う経験を通して、「あたたかくかかわり合っていく態 度」や最後まであきらめずに「自らの力で問題を解決していく力」を育てる。
- 【指導目標】
-
児童一人ひとりのニーズに応えるため、無線LANノートパソコンなどの機動性 に優れた情報機器を活用する。これにより、時と場所にとらわれずに必要な情報 を集め、加工し、児童が自ら情報を発信することができるようにする。
- 【指導計画・学習の流れ】
-
第5学年での総合的な学習の時間は、「住みよいまちをめざして」を大テーマに クラスの枠組みをはずして編成した目的別集団による学習グループは、全部で3 1チームになった。そこで、それぞれのチームの学習テーマや児童の「思いや願 い」を重視するために、到達目標を個々に設定し、複線型による学習過程の計画 を立て、多種多様な学習活動を行っていった。具体的には、(1)現地調査をする ための学習ゾーン、(2)コンピュータや図書資料を活用して調べまとめるための 学習ゾーン、(3)発表及び提案をするための学習ゾーンの3つの学習ゾーンを学 習計画に位置づけた。児童は、次時までに活動内容を決め、活動カードに自分の 名前を記入する。その活動カードに記入された児童の人数や要望に合わせて、必 要な学習ゾーンや活動場所を設け、担任教師がそれぞれの学習ゾーンを分担し、 活動を行っていった。
- 課題作り…10時間
- 25の課題
- 調査活動…18時間
- デジタルカメラ
- インターネット
- スタディノート
- 中間発表会…2時間
- スタディノート
- 追及学習・他校との共同学習…72時間
- 調査・製作
- デジタルカメラ
- スタディノート
- インターネット
- アドバイス
- 電子掲示板
- アドバイスメール
- 再計画(調査・製作へ戻る)
- 調査・製作
- 発表集会…2時間
- スマートボード
- プロジェクタ
- スタディノート
- 課題作り…10時間
- 【授業実践の様子】
-
- 「ふりかえり」を学習に位置づけた複線型学習過程
一人ひとりの問題解決能力や各学習テーマの難易度、それぞれのかなえたい思い や願いなど、児童のニーズに対応するためにインターネットや校内ネットワーク を活用した学級・学年・学校の枠を越えた交流学習を学習活動に位置づけた。更 に、学習過程の中に現地調査をするための「現地調査コース」とコンピュータや 図書資料を活用して調べ、まとめる「調査・製作コース」、そして、発表及び提 案をするための「発表・アドバイスコース」の3つの学習コースを位置づけた。
児童は、「調査→発表・話し合い→再調査」の活動を繰り返し展開していった。 これにより、児童は常に他者とかかわり合いながら学習を進めると共に、自分の 活動をふりかえりながらかなえたい思いや願いを達成するために、ねばり強く、 生き生きと学習活動に取り組んでいった。
- 電子掲示板を活用しての遠隔共同学習
児童の発表・話し合い活動を更に充実させるために、テレビ会議システムを活用 して、他校の同じ課題を持つ児童が参加しての話し合い活動を定期的に設けた。
話し合い活動では、より具体的にアドバイスができるよう事前にアドバイスして ほしいことをWeb掲示板に登録した(図1)。これにより、限られた時間で行う 話し合い活動でもポイントを押さえた発表及びアドバイスを行うことができた。 また、聞き手も事前に資料を用意して話し合いに参加するなど、深まりのある話 し合い活動を行うことができた。
テレビ会議システムを活用した他校の児童が参加しての話し合い活動の後(図 2)、話し合った内容やアドバイスなどの情報を更に詳しく相手に伝えるため、 Webメールで情報や意見を交換し合い、お互いの学習を深めていった。また、相 手の必要とする情報や内容に応じて、動画を活用してのビデオメールを送るなど、 目的に応じて情報を加工し、発信するなどの工夫が見られた(図3)。
- 「ふりかえり」を学習に位置づけた複線型学習過程
- 【利用環境】
-
- デスクトップPC
- Linux ノートPC 40台
- 共同学習システム「スタディノート」エディタ
- 周辺機器
- デジタルカメラ 11台
- プロジェクタ 1台
- サーバ
- 共同学習システム「スタディノート」Web掲示板
- デスクトップPC
- 【成果と課題】
-
- 成果
簡単にビデオや写真、音声を送受信できる「スタディノート」Web掲示板を活用 することによって、児童の声や表情を通して「思いや願い」を相手の五感に訴え ることができる。これにより、切実な思いで調査活動に取り組む様子を伝えるこ ともできた。また、川や動植物などの情報を画像や音を通して、リアルに伝える ことができた。
ネットワークの活用により、学級や学年、学校の枠を越えて主体的に学習課題づ くりを行ったり、グループづくりを行ったりすることができた。そうした学習活 動を通して、他校との連携した学習が、学校生活の中で日常的に行われるように なった。
「スタディノート」Web掲示板やテレビ会議システムを活用した交流学習及び集 団でのかかわり合いの場を学習過程に位置づけることにより、児童は様々な考え 方を知り、最終的には自分の考えで判断し、学習に取り組んでいく態度や能力が 身についてきた。
- 課題
検証のスパイラルを基本とする複線型学習過程を導入したことにより児童の学習 活動への対応を十分に行ってきた。より細かい児童の学習に寄り添うために、デ ジタルポートフォリオなど活用した評価及び具体的な支援の在り方について研究 していきたい。
児童の学習活動の広がりと深まりをさらに求めるために、交流学習の相手校を拡 大したい。
- 成果
- 【ワンポイントアドバイス】
-
ITを活用した遠隔共同学習を充実させるためには、児童の学習課題の中に共同 学習の必要性と体験をともなう学習活動の展開などが期待されるものでなければ ならいと思います。そして、最終的には教師が児童と共に共同学習をコーディネ イトしていくことだと思います。


